忘れられた人々のことをいつまでも忘れないで JIFF緊急医療活動報告

 1991年以来、JIFFはパキスタンのペシャワールで、アフガン難民に対する医療救済活動を展開して来ました。2001年9月の米国における同時多発テロ事件、それに引き続く米軍による空爆により、ペシャワールに新規難民が流入する中で、皆様の暖かいご支援のもとに、JIFFは栄養失調児対策プロジェクトを展開し、大きな成果を得ることが出来ました。
 
 2002年6月のロヤジルガの発足と共に、アフガン情勢に大きな変化が生まれて来ました。特に、パキスタンに流入していた難民が、新しい祖国に帰還する動きが出てきたことです。
それに伴い、JIFFは、2002年9月7日に、カブール市内のハザラ地区に、「母と子のための診療所」を開設し、その活動をアフガニスタン国内に拡大しました。

 一方、これまでアフガン難民の存在を許してきたパキスタン政府の態度にも、ある種の変化が生まれてきました。すなわち、出来るだけ、難民に自国へ帰ってほしい、その動きを妨げる動きは、なるべく制限しようというものです。ペシャワール市郊外の難民キャンプを閉鎖しました。
 
 これに対して、今後の活動を継続していくためにも、活動を再構築していくことを決定しました。すなわち、十数年に渡り、ペシャワールで運営してきたJIFFセンターの活動を、新規に開設したカブールの「母と子のための診療所」へ集約することです。
2002年11月に、残念ながら、ペシャワールのJIFFセンターを閉鎖しました。

 カブールの「母と子のための診療所」は、電気、水道がまだ復旧していないという悪条件の中で、1日300人の来院患者の診療に当たっています。昨年の冬は、例年になく寒さが厳しく、医薬品、栄養補給品が欠乏する中で、診療を継続しております。

 最近は、難民のアフガン国内への帰還がかなり進んでいることが、来院患者の服装、雰囲気などからうかがわれるようになりました。彼らは、せっかく祖国に帰還しても、「職がない」、「家がない」という苦境の中で、懸命に生き延びようとしています。

 昨年來、日本国民の関心は、北朝鮮、イラク問題に移り、アフガンに対する関心が薄れてきました。緒方元国連高等難民弁務官が言われた「忘れられた人々」に、戻りつつあります。このような中で、「忘れられた人々のことをいつまでも忘れないでおくこと」が大切だと思います。
 皆様方の厚い御支援をお願いする次第です。

熱い心 思いやりの心 平和を願う心

カブールに「母と子のための診療所」をオープンしました。
JIFFは、9月7日アフガニスタンのカブールで、「母と子のための診療所」の開院式典を行ないました。

9月5日には、杉浦外務副大臣、駒野欽一駐アフガニスタン大使が、開院に先立ち、診療所を視察訪問してくださいました。副大臣より、祝辞を頂戴しました。

9月7日の開院式典には、日本側からは、駒野欽一駐アフガニスタン大使、JR総連小田裕司委員長、生方幸夫衆議院議員、今野東衆議院議員、奈良県議会の飯田正議員、新谷紘一議員、奥山博康議員、「せかいいちうつくしいぼくの村」の著者小林豊画伯など来賓の皆様の参列を頂き、JIFFの相馬広明理事(東京医大名誉教授)の式辞により、開院が宣言されました。

アフガニスタン暫定政府より、モハメッド.イスモイル.カセムヤル.ロヤジルガ議長、ハジマングール.フセイン難民担当大臣、ソディックNGOプランニング省プレジデントが参列されました。

席上、JR総連小田委員長より、「子ども平和基金」よりのミルク購入資金の贈呈をいただきました。

なお、この診療所は、水道も電気も途絶えたカブール市郊外のハザラ地区にあり、戦禍で破壊された民家を借りて、改装し、井戸を掘り、発電機を設置して、やっと開院にこぎつけました。

昨年の10月よりペシャワールのJIFFセンターで医療支援してきた「栄養失調児対策」を、カブールでも実施いたします。
開院後、毎日、平均250名の患者が来院しております。

開院式典の前々日(9月5日)来賓の皆様が、ペシャワールより陸路で14時間かけてカブール入りされた日に、カブール市内で爆弾テロ事件が発生しました。事件が起こると、衛星電話が途端に通じにくくなり、来賓の方々の安否が確認できず、不安がよぎりました。
当日の夜10時からのNHKの「ニュース10」で、爆弾テロ事件の概要が報道され、事なきを得ました。

開院に際しては、奈良県議会より寄贈頂きました救急車およびライトバン各1台が、ペシャワールより、同議会の3名の議員の先生方自らの運転により、到着しました。今後は、カブールで患者の送迎用として使用されます。

「母と子のための診療所」は、「アフガンの母と子を救う会」の皆様からの基金により、やっとオープンにこぎつける事が出来ました。しかし、必要な医療設備の拡充、無償診療のための医薬品の購入、栄養失調児対策のための食料配布には、これからも皆様方からのご支援を宜しくお願い申しあげます。



外務大臣より国際医療強力の推進に尽力した功績が認められ、外務大臣表彰を受ける(2002年7月)。
アフガニスタンの首都カブールにJIFFの事務所が開設されました(2001年12月)。