GMS メディカルセンター近況報告


GMSメディカルトレーニングセンター



レントゲン技師長  檜山  




JIFFは、タイ国の王室の関連機関であるメーファールワン財団と協力して、タイ国チェンライ県メーサイで、GMSメディカルトレーニングセンター(以下、GMS MTCと略します。) を運営しています。
GMSとは、メコン大流域地区(Greater Mekong Sub-region)の通称です。タイ、ミャンマー、ラオス、ベトナム、カンボジア、中国に跨るメコン河流域を指すものです。
このプロジェクトは、外務省の平成17年度「日本NGO支援無償資金協力贈与契約」に基づき、タイ国保健省(TMPHThai Ministry of Public Health)の全面的な協力を受けて、メーサイにある国立メーサイ病院の施設と医療技術者を利用して、GMSの医療技術者に対して、放射線、臨床検査、看護師の3部門についての研修を行うものです。
平成18626日に、ラオスより第1期生として9名の研修生を受け入れて、スタートしました。マラリア、結核、HIV/AIDSを対象として、研修を行っています。特に、タイでの臨床経験から、HIV/AIDSと結核には、相関関係があることに注意して、研修を行っています。すなわち、

(1)HIV /AIDSの患者は、結核に罹りやすいこと、

(2)逆に、結核の患者は、HIV陽性からAIDSを発症しやすくなること、

(3)HIV/AIDSと結核を併発した患者については、死亡に至るまでの期間が短くなることなどの点です。

これらの点は、日本の状況とは違った面を持っており、GMS諸国の実情に合わせた研修を行っています。
メーサイ病院は、タイ/ミャンマーの国境から、3kmのところにあり、外来患者(1日約400)30%が、ミャンマーからの患者です。
特に、ミャンマーからの患者の中には、マラリア、結核、HIV/AIDSの患者が多く見られます。実際の臨床の過程で、研修を行えることが、このプロジェクトの最大の特徴と言えます。
このプロジェクトのタイ側の協力者であるメーファールワン財団(以下、MFLFと称します)は、1988年より、チェンライ県のドイトン地区において、麻薬撲滅のために、持続的転換型開発計画(Sustainable Alternative Development)を進めて来ました。
農民がそれまで行ってきた焼畑農法によるケシの栽培を止めさせるため、コーヒー、マカデミアナッツの栽培、花の栽培、絨毯、織物、和紙、陶器などの製造(Cottage Industry)により、農民のために、生活を維持できる収入の機会を作り出してきました。
持続的転換型開発計画とは、軍や警察により、単にケシ畑を焼き払うだけでは、農民が食べていくためにすぐにケシの栽培に戻っていってしまうことを考慮して、展開されたものです。
その結果、焼畑農業が止められ、ドイトンの山に緑が戻って来ました。この計画は、麻薬対策として成功を収めた少ない例の1つであり、国連麻薬犯罪局(UNODC)から、高い評価を得ています。
GMS MTCプロジェクトは、3年計画で、放射線、臨床検査、看護師の3コースについて、1学期3ヶ月間、年間4学期に渡り、各コース、初年度は、各3名づつ、第2年度以降は、各5名づつ、最終年度には、医師の再教育コースを加え、合計166名の研修生を訓練する予定です。これにより、GMS諸国の医療水準の向上に寄与できるものと確信しております。
このプロジェクトの遂行については、在バンコク日本大使館、チェンライ県知事、チェンライ県保健局などより、全面的なご支援とご指導を頂いております。



タイ・メイサイ市、GMSメデカルセンタープロジェクトについて

看護部長 荒川邦江



6月19日からタイに来て早や、一ヶ月半になろうとしています。タイは雨季、暑く、蒸し風呂状態です。日本の雨季の長期バージョンかしら?湿度120%です。スコールかと思いきや、スカッと晴れ、めまぐるしく、変化します。そのなかでも、タイの女の人は、お化粧をかかしません。すごい強い意志です。しかし、毎日、雨が降っています。
メイサイはタイの最北の町です。道路のいきどまりは、ミャンマーです。標高800メートルあるといいます。バンコクよりはとても涼しいところと聞きます。毎朝、坂道を15分から20分メイサイ病院をめざして、自転車をこぎます。汗が頭からふきでます。
扇風機で汗を乾かしてから講義にでます。タイの人たちは涼しい顔をして、バイク通勤してきます。タイの女性たちは、美白ブームだそうで、とにかく、日焼けを嫌っているようです。
研修のプログラムも、半分位まで進みました。ラオスから9名、男性5名、女性4名。

NURSEコース3名。XRayコース3名。検査技師コース3名。3ヶ月間の研修に取り組んでいます。
ラオスの人たちはタイ語ができますので講義もタイ語です。私たちには、通訳がいますが、医学用語が難しいため、100%の通訳がむずかしい。伝える方法を模索しています。

NURSEコース

荒川担当の講義の方法は、DVD,ビデオ、を使い、通訳してもらいました。内容は、エイズ、結核、INFECTION CONTROLについて、日本のケースについてです。映像が有効でした。タイ語になるといいなと思いました。それから日本の看護用品の紹介をしました。とても、関心をしめしてくれました。日本で使用しなくなったケリーパッド、水枕、水銀体温計、電気がないところのようですので、電化製品ではなく、シンプルなものがいいみたいです。タイにはまだエイズ、結核の映像がないので映像による講義は有効に思います。マラリアについては、日本にないため、私が教えて頂く、講義を受ける方法をとりました。

XRayコース

ウルトラサウンド(超音波エコー)の実技指導CTの実技指導、そして、読影、などについて檜山さんが担当しております。講義の資料作りもたいへんでした。日本語から英語に、英語からタイ語に日本人とタイ人の通訳の共同作業をしました。初めてのことばかり体験しております。みんなの知恵を集めて、なんとか乗り切りたいと思います。8月1日から、新居に移ることができました。楽しみながら、家具を整えています。城西病院の皆様の訪問をお待ちしております。

※食事について。

この一ヶ月間は、タイ料理、中国料理だけでした。辛い、塩が濃い、料理に少し疲れました。今は、日本料理も作れますので胃のほうも落ち着きました。それにしても、ここ メイサイは、中国語が町中にあふれています。あらためて、中国が近いと思いました。料理も中国のものが多い。顔も中国系が多くみられます。いろいろと、現地にきて感じております。私は今、中国、ラオス、タイの人々をとても身近に感じることができます。この様な機会を頂いたことに、理事長先生、城西病院の皆様に深く、感謝いたします。そして、私達を温かく迎えて頂いているメイサイ病院の院長先生、関係者の皆様にも深く感謝申しあげます。残る一ヶ月半、タイ、ラオスの人たちに少しでもお力になれたらと思います。帰るころ、私の顔、腕が黒くなるでしょう。誰かわからない位に



「教室の中のNGOと現場の中のNGO

木下 とも美


NGOとは何か?国際協力とは何か?ボランティアとは何か?国際人とは何でしょうか?これらのテーマは私が大学に入って、一番興味を持ったテーマです。そして、そのテーマについて今まさに自分の体験を通して考えを深めています。
私にとって海外に出るということは、ただ単に好奇心や興味だけのものではなく、そこから与えられる経験によって、自分自身を振り返り、また気づきを与えられるひとつの場・きっかけのように思います。6月下旬からタイに来て、しばらく経ちますが、現地のNGOの様子を直に見られるということ、そしてちょうどこのプロジェクトのスタートというタイミングで毎日、自分自身勉強になることがたくさんあります。このプロジェクトの必要性、タイ・ラオス・ミャンマーの医療現状、HIV/AIDS・結核・マラリアの実態など、医療の知識を全く持っていない私にとっても毎日、驚きの連続です。
大学で勉強した、教室の中からみるNGOではわからない面がたくさん見られることが私にとって一番刺激的です。体験に勝るものはないと改めて思わされます。たくさんの疑問や問いを、経験の中から与えられ、その答えを徐々に深めていけることもまたすばらしいと思っています。例えば、NGO活動とはどうあるべきか。チームで動くとはどういうことか。チームをうまく機能させるためにはどうしたらいいか。支援とはどういうことか。長い息の活動にするにはどうすればいいか、そういったことを一緒に来ている方から教わることがとても貴重な時間です。
 私が教わった事の中で、印象に残る部分がいくつかあります。
「与えるだけという考え方ではなく、常にgive and take、という考え方が大切」「やってあげているんだじゃなくて、活動をやらせてもらっているんだという姿勢」「無理せずにやる。無理せずに出来るのがボランティアだよ。」このことを何度も繰り返し、言っておられました。実際に体験している人からではないと教われないことだと思います。そして、ボランティアというものや、NGO活動といったものが、自分の生活からかけ離れたものではなく、生活の一部として感じられ、そんな自然体なのを見て、「あ〜、素敵だな〜。」といつも思います。
 このような貴重な体験をされてもらっていることに感謝をし、さらにこの体験を生かすには何が必要かと考えさせられます。どこで何をしていても、最終的には自分次第、その人次第だと思います。自分はどこへ行きたいのか、様々な問いを考えながらさらに進んでいきたいと思っています